第72章 邂逅、別離

あの悲鳴嶼とかいう男。

恐らく盲目なのだろうが……

相性の合う武器と巡り会って今の強さに辿(たど)り着いたのだろう。

「こちらも出し惜しみは許されないか……」

悲鳴嶼の両腕に格子柄のような痣が浮かぶ。

「行けるか、お前たち」

時透と悲鳴嶼さんが痣を顕現させた。

痣の発動条件を知らない俺はあの鬼相手に勝機を見いだせないかもしれない。

冨岡は考えを巡らせる。

猗窩座との闘いで何かを掴みかけたのだ。

あちらには炭治郎と煉獄が居たはずだが、大丈夫だっただろうか？

いや、あの二人なら……

「………」

今、弱気になってはいけない。

心を鎮めて、水面(みなも)を思い浮かべる。

そうだ、感覚を研ぎ澄ませ。

そうして掴め。

より強くなるための、糸口を。