第72章 邂逅、別離
何か手を考えなければ。
こちらの戦力は風、霞、岩、水。
目眩しに霞、破壊力の岩、柔軟性の水、勢いがますほど威力の増す風……
となれば、悲鳴嶼さんに黒死牟を引き付けて貰うのが常套(じょうとう)手段だろう。
時透の霞で気配を消しつつ、俺と不死川が隙をつき、悲鳴嶼さんが一撃を食らわせるのが一番か。
それとも悲鳴嶼さんと時透を陽動にして、寝首をかくつもりで俺と不死川が斬り掛かかるか。
「悲鳴嶼さん」
「何だ、冨岡」
「時透の霞で気配を消しつつ、俺と不死川が隙をつき、悲鳴嶼さんが一撃を食らわせるのがいいかと思うんですが……」
「チッ」
冨岡の野郎、ちったァ頭回ってんじゃねェか。
「冨岡が戦略を考えるとは……南無……」
「悲鳴嶼さんよォ、まだ感動するには早いぜェ?」
「そうか……」
不死川はよく人の気持ちを分かっているなぁ。
なんて、埒(らち)もないことを考える冨岡である。