第72章 邂逅、別離
「はい!」
水柱から頼まれちまった。
「白藤さん」
「玄弥君、すみません」
「いや、でもびっくりしましたよ、柱の一人を叩いちゃうとか……」
「……そうですね、前の私なら、きっとしませんでした」
「?」
「いえ、すみません。忘れて下さい」
「……?」
今は戦いの中、余計な感情は要らない。
私の役目は皆様を回復させること。
だから、できるだけ怪我をせずに生き残ることが最優先だ。
「大丈夫ですか?」
「あぁ……」
時透の問いかけに端的に応える。
先程の白藤の平手打ちで大分目が覚めた冨岡である。
先程まで黒死牟を抑えてくれていた不死川も刀をいなされてしまい、戦況は後退してしまった。
だが、同じ手は通じないだろう。