第72章 邂逅、別離
「このままでは時透様が……」
白藤の不安を感じてか、不死川が彼女の手を握る。
「あァ、分かってらァ。まずは悲鳴嶼さんに注意を逸らして貰うぜ」
不死川が悲鳴嶼に視線を送る。
「あい、分かった」
悲鳴嶼も腰を上げる。
「俺の風で勢いを削ぐ。冨岡ァ、守りは任せるぞォ?」
不死川が白藤から手を離す。
「承知した」
柱の三人が日輪刀を構える。
白藤は頷き、玄弥と共に下がる。
「白藤さん」
「玄弥君。貴方の出番はまだ先です。今は私と下がって下さい」
「でも、俺も……」
「気持ちは分かります。ですが、あの三人の間で動けば今の貴方では切り刻まれてしまいますよ?」
「っ……」
何も言い返せない。
柱に比べれば俺の力など……
玄弥が力量差に落ち込むのを察して、白藤が彼の手を掴む。
「だから、少しの間だけ。私のことを守って下さい、玄弥君」
「……白藤さん…」
「恥ずかしながら、私が一番弱いのです。だからお願いします」