第72章 邂逅、別離

「当時の私にとって、あの方が、私の支えであり、拠り所でした」

「そォかい」

そんな会話をしていた一方で、部屋に入った直後に戦闘が始まった場面に遭遇した玄弥は状況に混乱していたのだが、近くに悲鳴嶼がいたため、事情を聞くことにした。

悲鳴嶼曰く、初めて遭遇した上弦の壱が時透は自分の子孫だと明言したのだという。

『継国縁壱』という始まりの呼吸の剣士の兄弟だというこの鬼は、子孫である時透の実力を図りたいといい、その勝負に時透自ら願い出たということらしい。

「って、ことは、時透様が鬼の子孫……」

「あやつが言っている事が真実であるならば、そうだろう」

「なら、揺さぶりって線も……」

「だが、藤姫があやつの事を知っているのだ」

「白藤さんが？」