第72章 邂逅、別離
「霞の呼吸 肆ノ型 移流斬り!!」
「ほう。霞か。視野を撹乱する良い技だ。ならば、こちらも抜かねば無作法というもの……」
ついに顕になった黒死牟の日輪刀であったであろう刀には、ギョロりとした眼球が幾つも並び、一言で異形と呼べる形容をしていた。
「月の呼吸……壱ノ型 闇月・宵の宮」
「聞いたことの無い呼吸だ……」
「あれは、あの方だけの型ですから」
「白藤?」
「縁壱様が日ならば、あの方は片割れの月……御自身もよく仰っておりました。義勇さん。不死川様。お願いでございます。どうかあの方を打ち倒して下さいませ」
「白藤よォ。それは時透に伝えるんじゃねェか?」
不死川の言葉に白藤は首を左右に振る。
「お二人だからこそです。遊郭で、私を助けて頂いた時のように、どうかあの方を止めて下さい。あの方の最後を私は見届けたいのです……」
「そんなに大事だったのかァ?」