第72章 邂逅、別離
「そうか……」
「取り敢えず様子見だァ。ヤバかったら助けに入りゃ良いだろォ?」
「あぁ……」
不死川と冨岡の言葉に納得しつつも焦燥が拭えない白藤である。
巌勝様……
名を呼べない。
分かっているのだ。
以前の彼とは違うことを。
身に纏う気配から変わってしまった。
白藤の視線に気付いてか、巌勝がこちらに目を向けるが、直ぐに逸らされてしまう。
何故、堕ちてしまったのだろう。
あの方は、何に絶望したのだろう。
私には分からない。
当時でも、今でさえも。
貴方の心の内を読み解くことが出来ない。
白藤が何故これほど危惧しているのかは分からずも、不死川は明らかに様子の違う白藤のことを案じていた。