第72章 邂逅、別離
「『継国縁壱』はじまりの呼吸の剣士の名だ」
「その『継国』が一体なんだっていうのさ」
「分からぬか。そなたは私が『継国』に置いてきた子の子孫ということだ。まぁ、詮無きことだ。血は薄まっているかもしれぬが」
「動揺を誘っているのかもしれねぇが、言いがかり何じゃねぇのかァ?」
「不死川さん」
「時透。落ち着け。自分を見失うな」
「はい」
まだ年の頃も若いというのに、鬼を前にして冷静でいられる胆力。
さすがは我が子孫。
細胞が、肉体を形作る器量までも、この少年は有しているのだ。
「おもしろい……時透と言ったな。少々軽んじていた。先に詫びる。そなたと剣を交えたい」
「はァ?鬼が勝手言ってんじゃねェよ!!」
「いいよ」
「はァ!?時透、本気か?」
さすがの不死川も驚愕する。
「本気ですよ。でも、その鬼のことを信じたわけじゃありません」