第72章 邂逅、別離
「鬼の気配……」
気配を辿り、悲鳴嶼が合流した。
「悲鳴嶼さん!」
「時透か」
「時透……?」
上弦の鬼が呟いた。
「『継国』の名は途絶えたのか?」
「『継国』?何の話だ……?」
時透が怪訝な表情を浮かべる。
「『継国』の名を何故鬼が知っているのですか?」
「藤姫……」
「白藤さん」
冨岡を置いて前に出るつもりは無かったが、この鬼のことが気がかりでならなかった。
「何故、貴方がその羽織を着ているのですか……」
その羽織を私は知っている。
あの人に渡した。
もう、会えないはずの人。
「貴方は……」
声が震える。
嘘だ。
信じたくない。
でも、あの人に違いない。
「小娘。お前は鬼でありながら鬼殺隊に与するのか?」
あぁ、この声を知っている。