第72章 邂逅、別離
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「時透様……」
「黙って。冨岡さん連れて向こうに隠れた方が良いよ。今上弦が来るから」
「ですが……」
「行って。大丈夫だよ。これでも俺も柱だからね」
白藤は頷き、冨岡の腕を肩に回し、物陰に隠れる。
物陰と言っても、この室内にある支柱の陰だから二人で隠れるには少々狭い。
でも、何故だろう。
こんなに胸がザワつくのは。
ザッ。
足音が近づいて来る。
時透が刀に手を伸ばす。
「居たな。鬼狩り」
何だ、コイツは。
怖気が止まらない。
肌が粟立つような気配だ。
瞳の数字は……
「お前が上弦の壱……」