第71章 残荷、陽炎
獪岳が俺を嫌っていたのは知ってた。
俺も嫌いだったし。
それはおあいこだ。
ただ、俺や爺ちゃんにとってアンタはやっぱり特別だったよ。
ただ、それだけじゃ、アンタは足りなかったんだよな?
アンタからはいつも不満の音がしてた。
気づいていながら言わなかった俺も悪いんだろうけど。
爺ちゃん、ごめん。
俺たちの道は分かたれた。
ごめん、でも……
今の俺には、これしか出来ない。
トッ。
善逸の動きが速く、伊之助も全てを目で追うことは出来なかった。
ただ決着はあっという間だった。
「雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟!!」
獪岳が大技を出した直後。
「雷の呼吸 漆ノ型 火雷神」
首が、斬れた。
あの泣き虫なモン逸一人で。
上弦の頸を……
「って、やべぇ!!モン逸の奴落ちてやがる!!」
着地の衝撃で死んじまうかもしれねぇ!
伊之助は必死になって、善逸を受け止めようとする。