第71章 残荷、陽炎
ちっ、掠った場所から皮膚が、罅割れていく。
伊之助を引きずって、善逸は物陰に隠れた。
「どうだ!?血鬼術で強化された俺の刀の切れ味は!!皮膚を!!肉を!!罅割って焼く斬撃だ!!」
これが、呼吸を習得した鬼が血鬼術を会得した結果か。
確かに手強い。
でも……
だからって、負ける訳にも、逃げる訳にも行かないんだ。
爺ちゃんのためにも……
「アイツの技くらって大丈夫か?」
「あぁ。なんて事ない……伊之助。お前は先に……」
「何言ってんだ?俺もやるぜ!!アイツうっせぇし!!」
「伊之助……」
「それに、さっき上で俺様の仇の鬼を倒して来たんだ。お前の仇も俺様に任せろ!!俺は親分だからな!!」
「随分騒がしいじゃねぇの。隠れた意味無ぇんじゃねぇか?作戦会議は終わったのかよ、蛆虫共よぉ?」
「獪岳……」
「俺は特別だ。お前のようなカスとは違う。お前らとは違うんだよ!!雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷!!」
全身で拒絶するような雷だった。