第70章 氷中の激情
「自分で鬼の首を斬れない子が『柱』なんて。鬼殺隊も大したこと無いんでしょ?」
「おい……それ以上『柱』を侮辱すんじゃねぇ……」
「あぁ、そっか。君も柱なんだね」
「音のおっさんも、しのぶも、柱はすげぇ奴ばっかりなんだ!テメェなんか屁でもねぇん、だぜ」
「あぁ、やっぱり被り物かぁ。よく出来ているね、この猪頭」
「返せ!!」
「おや?君の顔。見たことがあるなぁ」
「は?俺はテメェに会ったことなんかねぇぞ!」
「いや、その顔は記憶にあるんだよ。十五年前か、割りと最近だなぁ」
自分のコメカミに指を入れて記憶を手繰る童磨の姿を見て、一同が動きを止める。
「ほら、この顔だ。琴葉って言ったなぁ。馬鹿な子だけど見目もいいし、食べないで、ずっと隣りに置いておくつもりだったのに、信者を食べてるのがバレちゃって」
扇で口元を隠しながら笑う童磨。
「逃げ出してしまってね。君を崖下の川に投げ入れたところで俺が捕まえた。もちろん、骨の髄まで綺麗に食べてあげたんだよ」
「俺に母親は居ねぇ!!」