第70章 氷中の激情
「さぁ、誰から食べようか」
嘘。
じゃあここにいる童磨は?
声がするのは真後ろだ。
「俺の血鬼術。そっくりでしょ?」
血鬼術・凍て曇と寒烈の白姫で作り上げた氷の分身を今まで動かしていた童磨は声を上げて笑う。
「君たち、本当に俺に勝てると思っていたの?人が鬼に適うわけないじゃないか」
「調子にのんなよ、上弦の弐!俺たち人間はそれなりにしぶといぜ?」
宇髄が音もなく近付き、距離を詰める。
「さっきから決定打に欠ける君に言われても説得力がないけどね?だけど、しのぶちゃんだっけ?君は残念だね」
「師範は残念なんかじゃない!」
「カナヲ」
「そうだ!しのぶはすげぇ奴だからな!」