第70章 氷中の激情
「気持ち悪ぃな!ミミズ帯みてぇだ!!」
「ミミズ帯?君……堕姫を知ってるのかい?」
「あ?俺が倒した」
「俺たちだろうが!居たわ。お前以外にも!」
「そう。君らが……じゃあ。君らは俺にとっての仇だね」
「はぁ?」
何言ってやがんだ?コイツ。
「堕姫と妓夫太郎を鬼にしたのは俺なんだ。だから彼らを倒した君たちは俺の仇だよ?」
アイツらの関係者か!
「離れて下さい、宇髄さん!蟲の呼吸 蜈蚣ノ舞 百足蛇腹!!」
「うわぁ、速い速い!!凄いねぇ、しのぶちゃん。君は本当に偉いね!」
ザシュ。
童磨の扇がしのぶの腹を斬りつけた。
致命傷のはずだった。
が。
「あれ?おかしいなぁ?致命傷だったよね?」
「胡蝶から離れろ!」
宇髄も不思議に思いながらも、童磨を引きつける。
「おっさん、加勢するぜ!獣の呼吸 参ノ牙 喰い裂き!!」
「傷が……」
胡蝶自身も驚いた。
先程受けたはずの傷が塞がっている。
それと、童磨の氷で確認が取れたのだが、先程まで右頬に出ていた藤の花の痣が消えていた。
これが効果だったのだろうか。