第70章 氷中の激情
「倒すと決めたなら倒しなさい。勝つと決めたなら勝ちなさい。どんな犠牲を払っても勝つ。私とも、カナヲとも、約束したんでしょう」
そう、そうだった。
カナヲにも約束した。
もう、会えないかもしれないけど、あの子を死なせないためにも、この鬼は、私が倒す。
「しのぶならちゃんとやれる。頑張って……」
分かったわ、姉さん。
胡蝶がゆっくりと立ち上がる。
「フゥー、フゥー」
全集中・常中で呼吸を整える。
「しのぶ!?」
「マジかよ……」
今立つのはマズイんじゃねぇか?
出血量も多い。
そのまま次の攻撃を受けたらアイツは確実に死ぬ。
だからこそ、宇髄は伊之助と共に童磨の首を斬ろうと奮闘する。
「君ら、邪魔だね。……俺はしのぶちゃんともっと話がしたいから、ちょっとだけ本気を出すね」
扇を構えた童磨が伊之助と宇髄の攻撃の隙間を掻い潜る。
「血鬼術・蔓蓮華」
氷の蓮華の蔓が童磨から三人に向け伸びていく。