第70章 氷中の激情
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「なんつー広さだ……」
宇髄が無限城を観察していると、目の前の扉が開き、胡蝶が現れた。
「あら?宇髄さんもこちらに?」
「胡蝶。さっきの鬼は?」
「さぁ?八つ裂きに出来なかったのは惜しかったですが……」
「随分物騒な言い方だなぁ……」
でもまぁ、しょうがねぇか。
さっきの金髪の鬼は胡蝶の姉、カナエの仇だったようだし……
「あ、いたいたぁ。さっきの可愛いお嬢ちゃん」
胡蝶の背後から声を掛けてきたのは、先程の鬼。
ばっ。
胡蝶は身を翻(ひるがえ)し、飛びずさって鬼から距離をとる。
この鬼、気配を感じなかった。
「いけるか、胡蝶」
「宇髄さんも手伝って下さるなら」
「美人の頼みなら、応えるのが男ってもんだろ」
「ふふ、さすがは色男ですね」