第70章 氷中の激情
「君たち、随分仲が良いんだね。妬いちゃうなぁ?」
「うっせぇな、上弦の鬼」
「酷いなぁ、名前で呼んでよ。俺は童磨。綺麗な女の子が大好物な鬼さ」
「おぞましい……」
「そうだな、胡蝶。早めに刻んでやろうぜ?」
宇髄と胡蝶が目配せする。
「蟲の呼吸 蜂牙ノ舞 真靡き」
胡蝶が突き技を繰り出すが、童磨はそれをまともにくらいながらも、飄々としている。
「うわぁ。不思議だね。これは毒かな?まあ、俺には効かないけれど……」
ド、ドン。
このままじゃ胡蝶が殺られる。
宇髄は爆薬を飛ばしながら、童磨との距離を詰める。
「ねぇ、君。邪魔しないでよ」
キィン。
日輪刀で胸へ向かってきた刃を弾き返す。
「っぶね!」
どっから出しやがった、あの扇。
二枚ってことは俺と同じく二刀流か。
「宇髄さん!」
「何ともねェよ、こんくらい!」
胡蝶に片手を振りながら、強がりを言ってみるが、手の内が分からないことには、譜面が完成しない。