第70章 氷中の激情
「白藤……無事か?」
「義勇さん……」
私と義勇さんが近づいた時に扉が開いたからだろうか。
運良く合流できた。
「ここ、どうなってるんでしょうか?」
白藤が疑問を口にする。
「さぁな。だが、敵の根城だ。安心はできない」
冨岡の言葉に白藤も納得する。
「でも、良かったです。義勇さん……」
猗窩座が降りてきた時は、気が気ではなかった。
「白藤。……これはどういう術なんだ?」
冨岡が自分の右頬を指差す。
「さっき咄嗟に出した技なので、詳細はわからないのですが、藤露を使えない状況下でも致命傷を避ける事が出来るようになっているはずです」
「確かに。藤露はお前にも負担がかかるからな」
「犠牲が出ないなら、それにこしたことはありませんよ」
だが冨岡は少々不安になる。
対象者が多い分、術の反動も大きいのではないのかと。