第69章 向かう先に
上からあの男が降って来た。
「待ちかねたぞ、人間共ぉ!!」
赤髪の鬼。
真下には杏寿郎様と義勇さん。
グルん。
宇髄の腕の中から前転をして抜け出すと、白藤は駆け出した。
「白藤!?」
「宇髄様、すみません!胡蝶様を頼みます!」
間に合え!
誰一人死なせない!
私の力で皆を守るんだ!
「ハハッ!術式展開 破壊殺・滅式!」
猗窩座の着地前に白藤が叫ぶ。
「させない!」
白藤が新たな技を練り上げる。
「術式展開・藤の加護!!」
白藤の周りにいる柱と炭治郎、玄弥の体が淡く光る。
『藤の加護』
限定条件(以前に藤露の施術を受けた者のみ)に発動する。対象者の皮膚(右頬)に出現している藤の花の数の分だけ、致命傷を避ける呪(まじな)いがかけられている。
上限回数は十回。
即ち、白藤を抱いた数だけ発動するのだ。
だが致命傷の傷は代償がいる。
同じ傷を白藤が代わりに受けるのだ。
だが、初めて発動させたその術の代償をまだ誰も知らなかった。