第69章 向かう先に
「お前を敵側に捕えられる訳にはいかないんだ。頼む、堪えてくれ」
「………ですが、このまま鬼舞辻の近くにいれば冨岡さんが……」
「お前な。心配なのは分かるが、アイツも柱だぞ?信じてやれ……」
「はい……」
不服そうな表情を浮かべる白藤を抱えながら、宇髄は無限城から新たに出てきた男に目を向ける。
派手な出で立ちの男だ。
金糸の髪に虹色の瞳。
薄く笑いながら扇を広げる様は、女性であれば天女のそれに見えるかもしれない。
「何だか底が知れない野郎が降りてきたな……」
「おやおやぁ?随分と集まっているね。よってたかって僕らの主を虐めて………鬼殺隊は随分と畜生の集まりなんだねぇ……」
「何だと?」
「宇髄さん、気をつけて下さい」
「胡蝶」
「胡蝶様」
「あれあれぇ?その羽織、見覚えがあるなぁ。花のような可憐な女性だった」
「…………姉さんの、こと?」
「カナエの仇(カタキ)か?胡蝶」