第69章 向かう先に
仇敵は虫の息だというのに。
冨岡が無惨の左、杏寿郎が右、槇寿郎が後ろに回り込む。
冨岡の守備が無くなり、あまねも耀哉に近づく。
こうして、庭先に無惨と冨岡、煉獄親子。
庭に面した座敷に珠世、白藤、あまね、耀哉が揃った。
「緊急招集ー!!」
どこからともなく、複数の鎹鴉が飛んでくる。
それは徐々に数を増していく。
「ならば……こうしてやろう」
無惨が右腕を伸ばし、拳を握るとどこからか琵琶の音が響いてきた。
その音と共に、奇妙な形の屋敷が姿を現す。
複数の襖。
複雑に絡み、別れている階段。
異質な歪みを造り出している城の様だ。
「一思いにお前を殺せぬなら、今から私と共に全面戦争だ。鬼殺隊と鬼、どちらが強いか思い知らせてやる……」