第69章 向かう先に
「御館様!!ご無事ですか!?」
この声は……
「煉獄!!」
「冨岡!」
「………その男は誰だ」
槇寿郎が低く呟く。
「槇寿郎様!!」
心強い援軍に白藤の目に薄らと涙が浮かぶ。
「煉獄!この男が鬼舞辻無惨だ!」
冨岡の言葉に煉獄親子が身構える。
「何!?」
三方向から挟みこもうと、煉獄親子が二手に分かれた。
それを見越して、御館様が紫苑に合図する。
紫苑は白藤と珠世の周りを飛び回り、戦線に出ないようにと牽制する。
「チッ……」
無惨は舌打ちした。
先程とは違い、五月蝿い羽虫が増えた。
産屋敷の話を最後まで聞く義理はなかったのだ。
結果的に産屋敷に止めをさせぬまま、敵の人数が増えてしまった。