第69章 向かう先に
「下らぬ…お前の話には辟易する…」
「この千年、鬼殺隊は無くならなかった。可哀想な子供たちは大勢死んだが、決して無くならなかった。その事実は君が………下らないと言った人の想いが不滅である事を証明している……」
御館様の言葉が静かに響く。
「君には理解できないだろうね、無惨。なぜなら君は…君たちは…『君が死ねば全ての鬼が滅ぶんだろう?』空気がゆらいだね……当たりかな?」
「黙れ」
「うん、もういいよ。君に言いたいことは言えた。最後に……ゴホッ。一つだけいいかい?」
噎せながら、御館様が続ける。
「私自身はそれ程重要では無いが、私の死が『無意味』なわけではない。私は幸運なことに今の柱たちから慕ってもらっている。つまり、私が死ねば今まで以上に鬼殺隊の士気が上がる……」
「話は終わりだな?」
「あぁ、こんなに聞いてくれるとは思わなかった……ありがとう、無惨…」
不味い。
俺一人で無惨を無力化させることは無理だろう。
だが、何か……
やるしかない。
冨岡が刀に手をかけた。
と、同時に。
「カァー!!」
一羽の鎹鴉の鳴き声が響く。
「来たね……」