第69章 向かう先に
「では、行ってくる」
「千寿郎、留守を頼む!」
千寿郎は火打ち石を持ち、二人の肩口で鳴らす。
「はい、お待ちしてます。ご武運を」
見送る千寿郎は笑顔だった。
そうして、煉獄親子は産屋敷本邸に向かい走り始めた。
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「……初めましてだね。鬼舞辻、無惨……」
「……何とも、醜悪な姿だな。産屋敷」
黒服の男が現れた。
この男が鬼殺隊の宿敵。
『鬼舞辻無惨』
でも、何故?
胸がザワつく。
私はもしかして、この男を知っている?
「白藤!」
「義勇さん?」
冨岡の声はするが、姿が見えない。