第69章 向かう先に
「不思議なことに貴方と鬼舞辻の血には類似点があります。貴方も、もしかしたら自分の眷属(けんぞく)を増やせるかもしれません」
「眷属?」
でも現状において、回復が出来るものが多いに越したことはないのも確か。
「先日上弦の鬼と交わったらしいですね。子はどうなさいましたか?」
「元柱に斬って頂きました」
「………そうですか。ならば、貴方の身体にも何か新しい能力が宿っているかもしれません……」
「新しい能力?」
「子供に親の能力が遺伝するように。貴方自身にも相手の鬼の能力の一部が備わっているかもしれません……」
「相手の能力の一部……」
そんなことあるのだろうか?
「白藤さん。そこの猫、茶々丸を鬼にして下さい」
「…………猫をですか?」
「えぇ。貴方なら出来ますよ」
半信半疑ながらも、親指を噛み、血を流す。
猫の茶々丸の口に親指を近付ける。
白藤の指を舐めた茶々丸の体を風が取り巻く。
なった。
きっと、この猫は鬼に変貌したのだ。