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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第69章 向かう先に


誰なのかは分からない。

冨岡は初めて会ったその鬼を前にして格が違うと肌で認識した。

この気迫に、存在感……

少しでも動けば、あまね様諸共切り刻まれてしまうのではないかと思うほどに……

声すら発せない緊張感の中で、義勇は思考を巡らせる。

何か、きっかけがあれば……

冨岡は目の前の男を具(つぶさ)に観察した。

血のように赤い瞳。

白白とした肌。

闇夜を思わせる黒髪。

巷で優男と呼ばれそうなほど整った顔をしたその男は、こちらに視線を向けるなり口を開いた。

「貴様は柱か?」

短い問いだ。

だがそれに答えて何になる……

「何だ?鬼殺隊は口も聞けぬのか?」

「っ………!!」

コイツ、こちらの内情をどこまで知っている!?

「くく。まぁ良い。今私は気分が良いんだ。自己紹介をしてあげよう。私の名は『鬼舞辻無惨』だ」

鬼舞辻?

コイツが?

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