第69章 向かう先に
兎にも角にも、煉獄の屋敷を後にして、白藤と冨岡の二人は鬼殺隊本部である産屋敷本邸に向かうのであった。
道すがら、何かの視線を感じたのだが、出処が分からず、違和感を拭えぬまま、二人は産屋敷本邸に到着した。
無論、移動手段は例によって冨岡が白藤を背負って来たのだが。
普段柱合会議に使用されている庭に回ろうとすると、鎹鴉が一羽飛んできた。
紫色の襟巻をしたこの鴉は、普段本部につめている御館様専用の鴉である。
「まあ、紫苑(しおん)様。お久しぶりでございます」
白藤にならい、冨岡も鴉に恭しく頭を下げる。
(調べたのですが、本部の鎹鴉の名前が分からず、今作にて勝手に名付けました。公式では無いのでご注意ください)