第67章 澱(おり)の中で$
「白藤……」
冨岡が白藤の頭を撫でる。
あんなにボロボロだったのだ。
我を失う程に飢餓状態に陥ってしまうのも分からなくはない。
だが、やはり……
「目を、覚ましてくれないか?」
体を繋げたくない訳では無い。
ただ、いつもの彼女に……
「戻ってきてくれ……」
「…………」
冨岡を見つめたまま、白藤が無言になる。
ポタ。
「……白藤?俺が、分かるか?」
「……………さん」
白藤が涙を流している。
「義勇、さん……」
抱き着いてきた白藤はいつもの彼女だった。
「おかえり、白藤……」
「ごめんなさい……義勇さん……」
「そんなに泣かなくてもいい。お前が無事で良かった……」