第67章 澱(おり)の中で$
「キシャア……」
鬼子は奇声を上げながら、ニタリと嗤った。
肌が総毛立つような嗤いだった。
「炎の呼吸ーー」
槇寿郎が抜刀しながら、技の発動に入る。
しかし、鬼子も全く動かない訳では無い。
槇寿郎の刀に向かい、飛びかかり、刀の側面を拳で叩いた。
まだ生まれ落ちて間も無いからか、反撃も少ないが意識が覚醒してからでは遅い。
何としても、今すぐに鬼子の首を落とす。
「炎の呼吸 伍の型 炎虎!」
不規則な動きをする鬼子に向け、槇寿郎が放った技は炎虎。
その名の通り、炎を纏った虎が鬼子の頸を目掛けて襲いかかる。
切っ先が頸にかかる。
押し込めるか。
槇寿郎が刀を寝かせ、鬼子の頸を捩じ切る様にして仕留めた。
「ぎゃきゃ!」
鬼子は奇声を上げながら、塵と化した。