第67章 澱(おり)の中で$
↓↓↓通常のお産ではありません。流血等の表現に注意です。
「白藤、頑張れ」
月並みな事しか言えない俺を許してくれ。
「はひ……(はい)」
ふぅーと白藤が深い息を吐いた時だった。
ビチャッ。
小水とは違う水が体外に排出され、白藤は悟った。
このまま生まれ出るのだと。
ボクッ。
腹を蹴っていたはずの鬼子が拳で腹を殴ったように感じられた。
やはり、腹を突き破るつもりか……
ボクッ、ボクッ。
「げふ、ごふ……」
拳を突き上げられる度、白藤は口から血を吐き続けた。
このまま腹を突破って出てくるのだろうと白藤が覚悟を決めた時だった。
「湯を持って参りました!」
盥(たらい)を手にした杏寿郎が戻って来た。
槇寿郎がとりあえず縁側に降ろせと指示をする。
「藤姫、頃合か?」
「ふぐ……」
苦悶の表情を浮かべながら、槇寿郎に向かい頷く白藤。