第67章 澱(おり)の中で$
槇寿郎に言われた通りに白藤は手渡された布を噛み締める。
「人の子ならば、自然と下を向き、産道を通る準備をするのだが……藤姫。息を大きく吸って吐け。深呼吸だ」
「ふー、ふーっ」
「そうだ」
「「…………」」
「なんと言うか、役に立ちたくても立てんな……」
槇寿郎の様な指示を出来ずに、そわそわしていると……
「杏寿郎、湯を沸かして来い」
「はい!」
「すみません、俺はどうしたら……?」
「冨岡殿は藤姫の手を握って、声をかけてやってくれ」
「え?はい……」
冨岡が白藤の手を握る。
「白藤……」
「ひゆう、はん(義勇、さん)……」