第67章 澱(おり)の中で$
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まだ陽が昇らない夜半時。
ドクン。
静かに寝息を立てていた白藤に異常が起きた。
「ふっ……っ……」
隣に寝ていた冨岡は白藤が息をつぐのにやっとになっている状態を見て驚いた。
「白藤……!!」
紙のように白くなった白藤の顔色を見て、冨岡は声を荒らげた。
我ながらみっともない声を出したものだ。
だがしかし、これまで出産などに縁のなかった者にとっては一大事である。
不穏な気配を察してか、槇寿郎と杏寿郎が離れへやって来た。
「父上、もしや?」
「藤姫、聞こえるか?」
ドクン。
肩を軽く揺すられ、白藤が視線を泳がせる。
槇、寿郎様……?
「藤姫、この布を噛み締めろ」