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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第67章 澱(おり)の中で$


冨岡の言葉に、その温もりに……

期待してしまう。

泣いてもいいのかと。

縋って、ぐしゃぐしゃになるまで泣き崩れてしまいそうだ。

今だってもう、涙が止まらないのに……

「藤姫。良かったな」

「槇寿郎様、卑怯です……」

「今日中に泣いたのはお前だからな。賭けは俺の勝ちだな」

「「賭け?」」

冨岡と杏寿郎が同時に頭を捻る。

「き、気にしないで下さい!」

『賭け』は故人の思い出語り。

それぞれ思いの丈を吐き出して、泣いた方が負けの勝負だった。

槇寿郎は瑠火を。

白藤はもう二度と会えないであろう巌勝を。

それぞれに語っていた。

最初の日は槇寿郎が負け、後はずっと引き分けだった。

白藤が泣いたのは今日が初めて。

そう、いつの間にか、思いの丈は巌勝よりも冨岡の方が上回っていたことになる。

義勇さんは私にたくさんの『初めて』を教えてくれた人。

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