第67章 澱(おり)の中で$
「煉獄は心根が温かいな……」
冨岡の独り言は煉獄の耳には届かなかったようだ。
「む?」
「失礼します。お茶をお持ちしました」
千寿郎がお盆に湯呑みを二つ乗せて入室してきた。
「うむ!ありがとう、千寿郎」
「兄上、こちらの方は?」
千寿郎は初対面の冨岡を見て兄に尋ねた。
「あぁ。同僚の水柱の冨岡義勇だ」
杏寿郎からの説明に千寿郎は度肝を抜かれた。
「み!失礼しました!水柱様!」
「冨岡だ。よろしく頼む……と」
「弟の千寿郎だ」
「こちらこそ。兄をよろしくお願いします。冨岡さん」
「おい、千寿郎!」
「仲が良いんだな」
「いえ、柱同士のお話もあると思いますので、私はこれ、で……」
ぐきゅるー。
「冨岡、もしかして昼餉はまだか?」
「う……」
「でしたら、何かお持ちしますね」
「だが……」
「そうしてくれ」