第67章 澱(おり)の中で$
盛大にお茶を吹いてしまった。
「何故……」
「兄上に幸せになって欲しいのです。父上は私にお任せ下さい」
「……ははっ。残念だが、千寿郎。藤姫殿にはちゃんとしたお相手が居る。多くは語らんが、芯のある男だぞ」
「お相手が?」
「あぁ。俺と同じ柱だ。だから俺は関係ないんだ」
「柱の方ですか!?」
それならば、納得……するほかないのだろうか。
「……では、何故こちらに?」
「すまん。千寿郎。全ては語れないが、色々と事情があるのだ」
「そうですか。少し残念ですが、滞在期間は一生懸命お世話しますね」
「千寿郎。お前は実によく出来た弟だ!」
杏寿郎と千寿郎がそんな会話をしているのを槇寿郎は知る由もなく。
「そろそろ運んでやるか…」
眠り姫となった白藤を瑠火の部屋へと運ぶのだった。