第10章 藤の毒
斬れ。
頸を、斬れ。
やらなきゃ、いけないんだ。
白藤さんが押さえてくれている間に。
「善逸、伊之助!三人でこの鬼の頸を斬るぞ!!この鬼の頸は柔らかすぎて斬れない!!相当な速度かもしくは複数の方向から斬らなくちゃ駄目だ」
炭治郎の声掛けに伊之助が真っ先に呼応する。
「複数の方向なら二刀流の俺様に任せておけコラァ!!三人なら勝てるぜェェェイ!!」
「わかった!!善逸、伊之助を守ろう」
「えー、無理ぃい!!」
善逸は口では怖がっていても、しっかり動いてくれる。
「よし!!行くぞ!!」
炭治郎の合図で新人三人が躍動する。
「獣の呼吸・捌ノ牙 爆裂猛進!!」
「水の呼吸・参ノ型 流流舞い」
「雷の呼吸・壱ノ型 霹靂一閃・八連」
複数ある帯を炭治郎と善逸が撹乱する。
伊之助は野生の勘(空間色覚)を頼りに、二人が開けた空間を縫うように進んでいく。
「今度は決めるぜ。陸の牙!!」
バギャギャ。
伊之助が堕姫の眼前に進み出て、技を繰り出す。
「乱杭咬み!!」
「…!!」