第10章 藤の毒
「冨岡さん!!」
私の下敷きに!?
まさか庇ってもらえるとは思っていなかった白藤は一瞬動きを止めた。
「ひっ、ひひっ。よくもやってくれたなああ。俺はお前に構うからなああ!」
嘘。こっちに…
妓夫太郎が白藤に向かって攻撃を放つ体勢をとる。
「雷の呼吸・壱ノ型 霹靂一閃・神速!!」
白藤の前にいる妓夫太郎を吹き飛ばして、方向を変え、そのまま堕姫の頸を斬りに向かう。
妓夫太郎も善逸の狙いが堕姫の頸だと気づき、攻撃の矛先を切り替えた。
「血鬼術・円斬旋回・飛び血鎌!!」
斬擊が白藤と気を失っている冨岡に当たらない様に宇髄が間合いに飛び込む。
「宇髄様!!」
腕の振りも無しに広範囲の斬擊……
宇髄は妓夫太郎から彼女を守るために近づいた。
が。
トンっ。
間合いの外側に向けて、白藤が宇髄の背中を押す。
「なっ!白藤っ!」
ザシュッ。
後ろから、帯に白藤が体を貫かれる。
「ごふっ…」
口の端から血が吹き出す。