第10章 藤の毒
ギュルッ。
堕姫の帯で鎌の方向を変える。
取った。
やっぱり俺たちは強ぇんだよなぁ。
「アイツ!ミミズ帯野郎!」
「オイオイオイ、冨岡ァ、テメェ手ェ抜いてんじゃねぇぞォ!!」
不死川が冨岡を怒鳴りつける。
「すいません、俺が取り逃しました!!」
冨岡からの返答より先に、何とか追いついてきた炭治郎が不死川に答える。
「っざけんなよォ、テメェ!!」
今度は炭治郎に怒鳴り散らす不死川を見て、善逸は不死川にめんどくさそうという視線を送る。
その直後。
「何見てんだァ、カスっ!!」
やっぱ、この人嫌い!!と、心の中で叫ぶ善逸であった。
ふっ。
視界から蟷螂野郎が消えた。
「天元様、鬼は…」
雛鶴が宇髄に呼び掛ける、と同時。
「え?」
フワリと白藤の体が浮遊した。
妓夫太郎「唸れ、飛び血鎌ぁ!!」
ダメだ受け身が取れない。
屋根に背中から叩きつけられる。
できるだけ身を固くしてぎゅっと目を瞑る。
ガシャン!!
いつまで経っても訪れるはずの衝撃が来ない。
まるで何かに守られているかのように温かい。