第65章 慟哭$
気迫に飲み込まれてしまい、それ以上二の句がつげなくなってしまう。
「俺はもう柱を退(しりぞ)いた身だ。今代の炎柱は杏寿郎、お前だ。して、その覚悟はあるか?」
「………」
押し黙っていると、彼女が手を伸ばしてきた。
「杏寿郎様」
「藤姫殿……」
「槇寿郎様。私勝手な願いではありますが、頸を斬られるのであれば、私は貴方にお任せしたいのです」
「藤姫よ、今のは……」
「後生でございます……今代の柱達は若すぎるのです……」
白藤が頭を下げる。
否、床に額を擦り付けている。
云わば、土下座だ。