第65章 慟哭$
腰帯を解き、彼の着物を脱がせる。
実際、何人も相手をしているのだ。
着物の脱がせ方は朝飯前だ。
鍛え上げられた肉体を前にして、凛々しさと雄々しさに気圧されてしまいそうになる。
残るは褌のみ。
当然、解いたことも、着せたこともあるのだから、分かっている。
ただ、今この雰囲気で、彼の褌を脱がせようとする自分が浅ましく、厭らしく思う。
シュル。
慣れた手つきで褌を外してやれば、これでもかと言うくらいに上を向く昂りが姿を現した。
これが、ナカに……。
彼の、槇寿郎様の昂りを見て、私はしばし惚けていた。
「瑠火」
名を呼ばれ、我に返る。
ああ、そうだ今は傀儡(かいらい)だったと。