第65章 慟哭$
「槇寿郎様。瑠火様を大切にしてあげて下さいませ」
「………あぁ///」
あの槇寿郎様が照れてる。
本人には直接伝えられないけれど、可愛らしい。
「藤姫殿?」
「すみません。最後の逢瀬とまではいきませんが、寂しくなります」
「………それはスマン……」
「ふふ。それでは今日は私がご奉仕致しますね。『魅了』は使いますか?」
「魅了で瑠火になる、と?」
「えぇ。私は構いませんよ?」
そう、道具に徹してしまえば、情も湧かない。
私は、私のままでいられる。
「藤姫殿、魅了を頼みたい。だが、奉仕するのは俺だ。彼女との閨の時に無理はさせたくない……」
「……畏まりました」
魅了。
槇寿郎様は長らく使わなかったけれど……
それだけ瑠火様を大事にされているのよね。