第65章 慟哭$
「君には隠し事が出来んな」
「ふふ、年の功ですもの」
「彼女は身体が弱くてな。子を産めぬやもしれない……」
「お父上は何と?」
「『煉獄家の男』ならこれと見定めた女は逃さぬようにと」
「寛寿郎様らしいですね。お変わりありませんわ」
「藤姫殿。……その……」
「藤の屋敷の薬師にツテがありますから何か分かったら御報告します。にしても、数年前まで腕白だった槇寿郎様がもう婚約ですか」
「腕白?」
「槇寿郎様は内に秘めている本心の方が血気盛んですもの」
「なっ……///」
「寛容な方か、一本芯の通った方が槇寿郎様にはお似合いかと」
「ぐ……」
確かに瑠火は芯の通った女性だ。
まったく、何から何まで、見透かされているな。