第64章 絡む糸
「宇髄様……」
「なんだ?」
「私、今から忍びになれますかね?」
「は?いや、無理だろ。お前身重だし、体力も……どうした?」
白藤がぼろぼろと大粒の涙を溢(こぼ)す。
宇髄が白藤の肩に手を置く。
「やめて下さいまし!」
バシッと手を叩かれて、宇髄が驚く。
「はっ、すみません……」
「お前……めでたいハズだろ?」
「めでたくないです、私は……」
「白藤……」
「宇髄……」
「冨岡!?」
いつ、帰って来たよ、お前。
忍びを動揺させんなよ。
「もう、帰れ。白藤の体に障る……」
俺が泣かせたみたいになってんだが…
「ま、あとは旦那に任せるか。白藤。お前は一人じゃねぇからな?それだけは忘れんな」
冨岡も俺たちも居る。
宇髄はそう告げてから、帰路へついた。