第64章 絡む糸
「はいはい。お二人とも、いちゃつくなら屋敷に帰ってからにして下さいね?」
「………すまん」
「義勇さん、帰りましょう」
「あぁ…」
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カァー。
「あら?珍しい。これは検体ですね」
この頃から、珠世と胡蝶の共同研究は始まっていた。
珠世は蝶屋敷からやって来た鎹鴉()の足から検体と手紙を取り外す。
「上弦の鬼の精液……」
血液からだけでは太刀打ち出来なかった体内に作用する薬も作れるようになるかもしれない……
これが、あれば……
鬼舞辻を殺せる毒を作れるかもしれない。
珠世は早速、分析に取りかかった。
長年の夢が成就するかもしれないと、珠世は一心不乱に分析をし、そうして知った。
白藤の中に、上弦の鬼の子が居ることを。