第64章 絡む糸
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数刻後。
「あら、白藤さん。こんな時間にどうしたんですか?………お一人ですか?」
居てもたっても居られなくなった白藤は、本部の鴉と共に蝶屋敷に向かった。
医学に精通している胡蝶ならば、何か分かることがあるかもしれない。
白藤は胡蝶に違和感についての事情を話し始めた。
「あの鬼の子が私の中にいるかもしれません……」
「………一日、二日で分かることはほとんど無いですが、調べてみますか?」
「………はい」
「よく、ここまで来れましたね。本部の鴉、茅野(かやの)のお陰でしょうか?」
「はい。しっかり案内して頂きました」
茅野は白藤が蝶屋敷に着いたのを見届けて、冨岡の屋敷に向かったようだ。
その内、迎えに来てくれるだろう。
「白藤さん。冨岡さんには私から事情を説明しますね」
「え?」
「顔色がよくありませんから、横になって休んで下さい」
「でも……」
「白藤さん。誰でも休息は必要ですよ?無理は禁物です」
「……はい」
胡蝶に促され、白藤は処置室の寝台の上に横になって目を閉じた。