第64章 絡む糸
もし、私の中にあの鬼の子が居たら、どうなるのだろう。
当然、鬼殺隊には居られない。
鬼の子など危険すぎる。
どうやって産まれてくるかも分からない。
前例がない。
でも、言い伝えられているだけで、鬼同士が交わった事実は無いように思う。
そうなると、元は人である鬼とて……
「私の『例外』が、何処まで及ぶのか……」
何故、鬼の子なのだろう。
どれだけ人と交わっても、子を宿したことなど無かったのに……
居ると決まった訳ではない。
鬼とて腹の中は見通せない。
ただ、ずっと拭えないこの違和感は何なのか……
「義勇、さん……」
切望に近い想いを込めて、消え入りそうな小さな声で冨岡の名を呼ぶ。
大丈夫だと先ほどのように抱き締めて欲しいのだと気付いた時には、白藤は無意識に涙を流していた。