第64章 絡む糸
「私は、こうして貰える方が嬉しいです」
冨岡の腕に頭を乗せる白藤。
その仕草が愛らしい。
「何かして欲しいことはあるか?」
「そうですねぇ。頭を撫でて下さい」
白藤に乞(こ)われ、頭を撫でてやると彼女の目許がうとうとしてきた。
まるで赤ん坊のように冨岡の腕の中に収まっている白藤は、落ち着いたのかゆっくりと眠りに落ちていく。
「おやすみ、白藤……」
このまま共に横になりたいが、とりあえず持ち場の巡回だけはしなければならない。
白藤の元には本部から使いに出された鴉に見守ってもらい、冨岡は寛三郎と共に夜の巡回へと向かった。
「…………」
行ったかな?
思いの外、狸寝入りは成功したようだ。
「貴方は残って居たのね、大丈夫。厠に行くだけよ。すぐに戻って来るわ」
鴉に声をかけ、白藤が立ち上がる。