第64章 絡む糸
「すぐに床を……!」
焦る冨岡を他所に白藤は力無く笑う。
「ふふ……」
「何を笑う……」
「義勇さん、お水とさっきの薬貰えますか?」
「あぁ。だが、体調が悪いのに……飲んで平気か……?」
「こういうのは早めに飲んで休むのが一番なんですよ」
「そういうものか……?」
冨岡が壁に凭(もた)れている白藤に湯飲みに入った水と薬を差し出す。
「万が一にも、鬼同士の子が出来てしまう事態を避ける為ですから…」
びりり。
包みを破いて、中に入っていた粉末を口に含み、水で流し込む。
ごくり。
しっかりと飲み込んで、ふうと息を吐く。
「今日は早く休め……」
布団を敷いた冨岡が白藤の傍らに腰を下ろし、彼女を抱き寄せる。