第64章 絡む糸
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蝶屋敷にて。
「あ、白藤さん。と、水柱様。今胡蝶様を呼んできます、こちらでお待ちください」
出迎えたアオイは俺たちを客室に通した後、胡蝶を呼びに出て行ってしまった。
「とりあえず、楽にしろ」
「はい、ありがとうございます…」
パタパタ。
「白藤さん、冨岡さん、お揃いですね。アオイは下がっていいわ」
「はい」
アオイが下がり、室内は胡蝶、俺、白藤の三人に。
「白藤さんにこちらを」
胡蝶が白藤に手渡したのは、小さな紙包み。
「堕胎薬です。鬼である白藤さんに効果があるかは分かりませんが、今まで人間を相手にしていた貴方が初めて鬼に抱かれた。鬼は子孫を残さないと言いますが、もしもが起きないとも限らないですから」
「胡蝶。言いがかりだ!まさか、白藤に鬼の……」
「義勇さん。胡蝶様は心配して下さっているのです」
「だが……」
「胡蝶様、ありがたく頂戴致します」